2017 年 5 月,体重が過去最高記録を更新し BMI が 29 を超えた.さすがにヤバイと思い,減量を開始することにした.
実は一度,減量に失敗している.2016 年 10 月の検診でクレアチニンが若干高いと指摘され,たんぱく質の摂取量を減らしてしまったのだ.体重は 4 kg 近く減り,顔もスッキリしたがチェストプレスの重量が 20 kg も減ってしまった.これはまずいとやたら食べた結果,過去最高の体重になってしまったというわけだ.
基礎代謝量の算出
減量するにあたって最も重要なのは基礎代謝量の算出だ.この計算を間違えると摂取カロリーの管理ができない.基礎代謝量の測定には間接熱量計を用いるのが最も正確だが,そのような設備を持っている施設は限られる.こんなやつ.
そのためいくつかの推定式が用いられることが多い.
ハリス・ベネディクト式
多くの医療機関で用いられているが,大半の日本人には高めに出ると言われている.W:Weight (kg); H:Height (cm); A:Age (year) の略である.基礎エネルギー消費量に活動係数,ストレス係数をかけて必要エネルギー量を計算する.
ハリス・ベネディクト式 | 簡易式 | |
---|---|---|
男性 | 66.4730+13.7516W+5.0033H-6.7550A | 14.1W+620 |
女性 | 655.0955+9.5634W+1.8496H-4.6756A | 10.8W+620 |
基礎代謝基準値
基礎代謝基準値は日本人を対象として調査したものなので,当然日本人に合致しやすいと言われている.出典は厚生労働省.
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 (years) | 基礎代謝基準値 (kcal/kg/d) | 参照体重 (kg) | 基礎代謝量 (kcal/d) | 基礎代謝基準値 (kcal/kg/d) | 参照体重 (kg) | 基礎代謝量 (kcal/d) |
1-2 | 61.0 | 11.5 | 700 | 59.7 | 11.0 | 660 |
3-5 | 54.8 | 16.5 | 900 | 52.2 | 16.1 | 840 |
6-7 | 44.3 | 22.2 | 980 | 41.9 | 21.9 | 920 |
8-9 | 40.8 | 28.0 | 1140 | 38.3 | 27.4 | 1050 |
10-11 | 37.4 | 35.6 | 1330 | 34.8 | 36.3 | 1260 |
12-14 | 31.0 | 49.0 | 1520 | 29.6 | 47.5 | 1410 |
15-17 | 27.0 | 59.7 | 1610 | 25.3 | 51.9 | 1310 |
18-29 | 24.0 | 63.2 | 1520 | 22.1 | 50.0 | 1110 |
30-49 | 22.3 | 68.5 | 1530 | 21.7 | 53.1 | 1150 |
50-69 | 21.5 | 65.3 | 1400 | 20.7 | 53.0 | 1100 |
70- | 21.5 | 60.0 | 1290 | 20.7 | 49.5 | 1020 |
マクロ栄養素
Testosterone 氏 (@badassceo) の書籍で知ったもの.W:Weight (kg); H:Height (cm); A:Age (year) の略である.A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals というタイトルで The American Journal of Clinical Nutrition という雑誌に投稿された論文が元になっている.
男性 | 10W+6.25H-5A+5 |
女性 | 10W+6.25H-5A-161 |
体組成計
ある意味,最も確実な手段.ただし初期投資が必要.精度を問題にするなら InBody 一択だ.左のやつは医療機関でも持ってるところは少ない.個人で買うと破産するぞ.買うなら右のやつだ.
Inbody は除脂肪量を元に基礎代謝量を算出している.原典はカニンガムの式 Body composition as a determinant of energy expenditure: a synthetic review and a proposed general prediction equation. で,実際の推定式は以下の通り.
Cunningham の式 |
---|
REE = 370 + 21.6 x FFM |
俺が実際に使ってるのは Nokia 製だが,後述するようにあまり正確じゃないし,基礎代謝量も算出してくれない.今ならお勧めしない.
身体活動レベル
身体活動レベルは国立健康・栄養研究所が二重標識水法で日本人を対象に調査した結果に基づいている.週 3 回ジムに通うようなトレーニーならレベル II になるだろう.
身体活動レベル | レベル I (低い) | レベル II (ふつう) | レベル III (高い) |
---|---|---|---|
1-2 | 1.35 | ||
3-5 | 1.45 | ||
6-7 | 1.35 | 1.55 | 1.75 |
8-9 | 1.40 | 1.60 | 1.80 |
10-11 | 1.45 | 1.65 | 1.85 |
12-14 | 1.50 | 1.70 | 1.90 |
15-17 | 1.55 | 1.75 | 1.95 |
18-29 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
30-49 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
50-69 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
70- | 1.45 | 1.70 | 1.95 |
ただ,Testosterone氏の書籍では低レベルで 1.2, 中レベルで 1.55, 高レベルで 1.725 と低めに設定してある.ここらへんは実践してみてフィードバックを繰り返す他ないだろうな.
で,俺はマクロ栄養素で計算したら基礎代謝量 1750 kcal となった.アクティブ度を低めに見積もって 1.2 とすると 1 日に必要なカロリーは 2100 kcal となった.減量したいのでこれに 0.8 を乗じて 1680 kcal となる.かなり厳しいな.今から振り返るとアクティブ度は 1.55 で計算しても良かったかもしれない.その場合だと 2170 kcal になるんだけども.
実践したこと
食事の記録
食事のマクロ栄養素を記録するのは必須の作業だ.これなしでは減量は成り立たない.食品の栄養素のデータベースは Slism に頼った.もともとは文部科学省の食品成分データベースを元にしているんだけど,各メーカーがそれぞれ独自のレシピについて栄養素を公開してるのでどれか一つに決めて記録し続けること.
ここら辺の経緯についてはマクロ栄養素による食事摂取量の把握の記事を参照されたい.
何が大変かって,朝夕の食事のメニュー記録とその重量の計測が大変だ.嫁からは白い目で見られるし嫌味を言われるし.で,役に立ったのはこれ.2009 年 12 月に購入して使い続けているが,今のところ壊れる気配がない.
食事へのフィードバック
最初の頃は何をどうやっていいのか分からなかったが,そのうちに炭水化物と脂質が多すぎることに気がついた.
ご飯の一膳を 160 g から 120 g に減らし,ついで 100 g にまで減らした.ご飯茶碗が大きすぎるとご飯が少なく見えるため,小さな茶碗に替えた.
サラダにかけるドレッシングを胡麻ドレからポン酢に替えた.もともと子供が脂っこい食事は苦手だったので,たまに自分が作る料理もどんどん油を減らしていくことになった.炒め物にはたっぷり油を使っていたのが,蒸し煮焼きになった.
たんぱく質を求めて
たんぱく質を摂るため,サラダチキンや卵を大量に食べていたが,よく冷蔵庫の在庫切れを起こすのと,単価が高いのが課題だった.
豚肉は脂身のついていないパックを買うようにしている.鶏肉はもも肉ではなく皮なし胸肉やササミを使うようになった.コストコの 2.4 kg のパックはコスパが良いと思う.たまにご褒美としてローストビーフを作る.
コストコの魚介類の中でもブリとサーモンは一級品だと思う.ブリはタレで漬け込んでオーブンで焼く.サーモンはポン酢でマリネにする.魚介類は不飽和脂肪酸が多く,良質の脂質だ.
最近では大豆水煮や鯖缶など,たんぱく質あたりの単価が安い食品を探すのが趣味になった.
結果
減量を始めて半年以上経つ.体重は 11 kg 減った.BMI は今 25 あたりだ.脂肪は 5 kg 減った.筋肉も 5 kg 減った.フリーウェイトの負荷はそれほど減っておらず,少しずつ増えてきているから悪くない結果だろう.
筋肉量が 55 kg もあるなんて絶対ウソだ.多分だが,倍ぐらいに推定してる.第一,内臓の重量がないってのはどう考えてもおかしい.
課題
冬は子供が風邪を引きやすい.必然的に家族も風邪をもらうことが多くなる.風邪をひくとトレーニングを休まざるをえない.風邪によるトレーニングの中断は心理的にもきついが,無理してトレーニングしてもいいことはない.きちんと治すことを優先しよう.
プロテインをワークアウト前に 1 スクープ飲み,BCAA をワークアウト中に飲み,BCAA を飲み干したらプロテインを飲んでいたのだが,後半の種目でスタミナ切れを起こすことが増えた.
どうやらワークアウト前に炭水化物を摂取しておく必要がありそうで,久々に粉飴を再開したところだ.その分炭水化物が増えてしまうが,やむを得ない.食事で調整するかどうかは今後の状況を見て考えたい.