国土交通省のサービスの一つに位置参照情報ダウンロードサービスがある.何気なくファイルをダウンロードして,思いがけない発見があったため,記事を書くことにした.
国土のデータは国土交通省にある
ダウンロード
トップにあるリンクをたどると,ダウンロード方式を選択する画面に遷移する.これはファイル分割をどの粒度で行うかを選択するもので,後の手間を考えると,都道府県単位を選択しておくのが望ましい.
「ファイル選択」画面に遷移する.「全ての大字・町丁目レベルを選択」にチェックする.データ数は合計約 19 万件になる.ちなみに「全ての街区レベルを選択」すると,合計 1900 万件ものデータ件数に達する.
スクロールして一番下まで行くと「選択」ボタンがあるのでクリックする.
利用約款が表示されるので「同意する」をクリックする.
ダウンロード画面に遷移する.
zip 圧縮されたファイルがダウンロードされるので,必要に応じて中身の csv ファイルを取り出し,一箇所にまとめておく.
ファイル構造
都道府県コード,都道府県名,市区町村コード,市区町村名,大字・町丁目コード,大字・町丁目,緯度,経度と簡素な構造である.欠損もなく良質のデータである.
力技で EXCEL でコピペしてもよいが,SQL Server にインポートすると扱いが楽になる.
SQL Server にインポート
テキストファイルから SQL Server に気象データをインポートするにあるように,同じ形式のファイルをインポートしていく.列データのマッピングはすべて nvarchar(50) にした.エラー回避のためである.
2 回目以降のインポートではマッピング画面の手前でインポートするテーブルを選択できる.おそらくテーブルにインポートするための条件が記録されているのだと思う.
データを EXCEL に出力
以下のクエリを発行してデータを出力し,EXCEL に貼り付ける.
SELECT * FROM dbo.T_Ooaza;
EXCEL で散布図に描く
散布図に描画
貼り付けたデータはテーブルに変換する.ワークシートを新規に挿入し,「挿入」タブから散布図を選ぶ.グラフエリアを右クリックして「データの選択」に入り,先程のテーブルから X 軸の値に経度,Y 軸の値に緯度を選択する.
書式設定
X 軸の最小値を 120, 最大値を 150 とし,Y 軸の最小値を 20, 最大値を 50 にする.データポイントを右クリックしてマーカーのオプションで塗りつぶし(単色)を選択し,透明度を 95 % にする.マーカーの大きさを最小の 2 ポイントにする.
19 万ものデータポイントを描画するため時間がかかる.人口密集地域が濃くなっている.
まとめ
一つ一つの点が人の住む大字・町丁目である.データがやっと身近なレベルにまで降りてきた気がした.
自分はこれまで冷淡な人間だと思っていた.愛国心などかけらもない,リバタリアンだと思っていた.だが,このグラフを見て自分の中の何かが変わった気がする.
人生における転機というものは確実にある.この記事が公開される頃にはもうその転機となった時期は過ぎ,新しい生活に慣れずにあたふたしているに違いない.
2020 年 2 月の今の,その微妙な気持ちを記しておくためにこの記事を書いたようなものである.少し前から心に焼き付いて離れないイメージがある.
子供の手を引いて歩いていく俺を,後ろから見ている人の視線で見ている.子供は後ろ髪を引かれるように振り返りつつ,俺の顔を見上げる.後ろから見ているのが誰なのかは分からない.
もう一つ.涙をこらえて拳で拭いつつ,立ち上がる俺だ.傍らにはおそらく職場の年齢の近い男性が俺の腕を取って引いて促している.何かと決別しようとするところのようだ.
それが何なのかは分からないが 10 年前の転機とつながっている気がする.誰かが叫んでいる気もする.だが,その叫びは俺には聞こえない.
誰を大切にし,誰を捨てるのか,既に決めた.俺はもう自分の人生を選択したのだ.
“位置参照情報ダウンロードサービスから見る国土の形” への1件の返信