植物の光合成の分子生物学

葉緑体の構造 © Wikipedia

植物の生存戦略

 被子植物は花を咲かせ,種子をつくる.そこには受粉という植物自身では完遂できない行程が存在する.なぜ自然は被子植物の繁殖に受粉という外部の生物を必要とする行程を取り入れたのか?それは今もって不明であるが,花粉の授受には昆虫や鳥類の関与が不可欠である.昆虫と被子植物の共進化は白亜紀に起きたと考えられている.

虫媒花,鳥媒花

 植物が花を咲かせる時には蜜を作る.ハチやチョウなどの昆虫は蜜を吸い,植物は花粉を昆虫に付着させる.ハチドリやメジロも花の蜜を吸う.

 被子植物の 90 % は動物に受粉の媒介を依存しており,残りは風や水を媒介に受粉を行う.被子植物は歴史上,特定の動物種に自身の繁殖を依存するようになった.裸子植物の大部分が風媒花を咲かせる.その代表格はスギである.

 風媒花はその性質上,大量の花粉を生産しなくてはならない.繁殖にかけるエネルギー効率から,被子植物は自身の繁殖を昆虫や鳥類に依存した方が有利だったのかも知れない.

種子と果実

 被子植物の特徴は果実である.果実には糖質が多量に含まれており,動物にとっては貴重な栄養源である.果実の中心には種子が位置しており,摂取された種子は動物の消化管を通過する間に遠方に運搬される.種子の内部には脂質が豊富に含まれるものもあり,これを栄養源とする動物種も存在する.

 被子植物にとっての生存戦略とは,受粉と種子の運搬を動物に依存することにより,より適した環境に広がっていくことにあったと考えられる.

 種子は植物の子孫であり,その内部には遺伝物質が格納されている.デオキシリボ核酸は紫外線によって破壊される危険性があるため,種子の果皮には色素で紫外線から遺伝子を保護しているものもある.トマトのリコピンやナスのアントシアニンが代表的な色素である.その色素が昆虫や動物にとっては赤や紫色に見える.

虫の色覚,鳥の色覚

 ヒトは3色型の色覚を持つ.鳥類も3色型である.昆虫には4色型を持つものもあり,紫外領域に視細胞分光感度のピークの一つがある.

葉緑体の構造

 日本語では葉緑体と葉緑素はよく似ているが,厳密には同一ではない.葉緑体 (chloroplast) は植物細胞の一区画を占める構造物であり,葉緑素 (chlorophyll) はさらに葉緑体内部にある色素分子の一つである.葉緑体に含まれる色素にはクロロフィルの他にカロテノイドやビオキサンチンもある.

 葉緑体はミトコンドリア同様,外膜と内膜の二重膜で被覆され,独自の DNA を有する.植物種によっては三重膜,四重膜を持つものも存在する.内部にはチラコイド (thylakoid) と呼ばれる層状に潰れた風船のような円盤状の構造物を有しており,チラコイドが積み重なってグラナ (grana) を形成する.グラナはさらにラメラ (lamellae) と呼ばれる中空の構造物により相互に接続されている.

 内膜とグラナとの間の空間はストローマ (stroma) と呼ばれ,液体成分で満たされている.チラコイド内部の空間をルーメンと呼ぶ.位相幾何学的に,葉緑体の内部空間はチラコイド膜によりストローマとルーメンに隔てられており,光合成の主たる反応はチラコイド膜面で行われている.

葉緑体の構造 © Wikipedia
葉緑体の構造 © Wikipedia

 グラナとラメラとの接合の様式を電子トモグラフィーを用いて観察すると,両者のなす超立体構造には複雑な位相幾何学的特徴があり,平面に投射することはできない.表面積を最大化しつつネットワークの表面エネルギーを最小化する配置を取る.古典的にはグラナとラメラの接続は 1 : 4 の比率であり,等ピッチで右巻きのらせん構造をなしているとされるが,異論もある.これらの立体的な膜ネットワーク構造は葉緑体に限らず,小胞体や核物質などの高密度に充填された層構造を接続する普遍的な手段であるらしい.

葉緑体内部のグラナとラメラを結合する幾何学的らせん構造 (https://europepmc.org/article/med/31611387)
葉緑体内部のグラナとラメラを結合する幾何学的らせん構造 (https://europepmc.org/article/med/31611387)

 グラナとラメラの接合部はスリット状の形状をしている.スリットの大きさにはばらつきがあり,光合成機能制御において接合スリットが何らかの役割を果たしていると考えられている.

電子トモグラフィーから再構築したグラナとチラコイドの3次元画像 (http://www.plantphysiol.org/content/155/4/1601)
電子トモグラフィーから再構築したグラナとラメラの3次元画像 (http://www.plantphysiol.org/content/155/4/1601)

光合成の概要

 光合成は複雑な過程を経て光子の持つエネルギーを使って水と二酸化炭素から,酸素と炭水化物を生成する反応である.エネルギーは光化学系 II (Photo System II) から光化学系 I (Photo System I) の順に受け渡される.両者は多くの蛋白質サブユニットからなる複合体であり,その構造は反応中心 (Reaction Center) を幾何学的中心とした点対称の形をなす.光化学系 II は 180 ° 回転で対称となり,光化学系 I は 120 ° 回転で対称となる.

集光性アンテナと反応中心

 すべてのクロロフィル分子が光子によって酸素と炭水化物を生成するのではない.むしろ大多数のクロロフィルは,集光性アンテナ (Light Harvesting Complex) の役割に徹している.一部のクロロフィルのみが反応中心として文字通り構造の中心に位置する.その役割は複合体の形に現れている.

 下図のように,点線で囲まれた六角形がコアであり,その周囲に 6 個の三量体が取り囲んでいる.一般にこの構造は C2S2M2N2 と呼ばれ,C はコア,S は強い結合, M は中等度の結合,N は弱い結合を示す.

コナミドリムシの光化学系 II の構造 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31768031/)
コナミドリムシの光化学系 II の構造
エンドウマメの光化学系 I の構造 (https://science.sciencemag.org/content/348/6238/989)
エンドウマメの光化学系 I の単量体の構造

 

励起伝達と電子伝達反応

 アンテナとしてのクロロフィルに光子が当たると基底状態から励起される.具体的には電子が励起されてπ軌道に入る.通常,励起された分子は熱を出すか蛍光を発して基底状態に戻るが,光合成系のように構造のよく似た分子が密接していると,励起伝達および電子伝達反応という2つの特殊なエネルギー伝達が可能になる.アンテナとしてのクロロフィルから反応中心のクロロフィルへは励起伝達によりエネルギーが伝達され,反応中心から電子受容体へは電子伝達反応によりエネルギーが伝達される.

 パルスレーザーによる過渡吸収分光法で測定した伝達速度はフェムト秒からピコ秒のスケールである.最速のものは クロロフィル b – クロロフィル a 間の転移に約 150 – 200 fs を要するのみである.クロロフィル a 間のエネルギー移動には 1 ps 以上の時間を要し,その他の成分間では 500 – 600 fs と 5 – 7 ps の範囲にある.

葉緑素の分光吸光度

 植物の緑色は葉緑素に由来する.葉緑素は太陽光と水と二酸化炭素から,有機化合物と酸素を作り出す.

 葉緑素の吸光度は青と赤にピークがあり,緑を吸収せず,そのため植物は緑色に見えるとされている.高等植物に含まれる葉緑素はクロロフィル a とクロロフィル b であり,その吸収スペクトルのCIE xy 色度図での色度座標はそれぞれ (0.1981, 0.3341), (0.2704, 0.566) であり,それぞれシアン色領域,黄緑色領域に相当する.

 ミトコンドリアが古細菌と共生するようになったのは 16 億年前と言われているが,葉緑素が古細菌に取り込まれたのはその後のことである.その起源はシアノバクテリアであるとされている.

光合成の詳細

 葉緑素での光合成の反応の中心は光合成電子伝達系および炭素固定反応である.

光合成電子伝達系

 最初は,光子が葉緑素のクロロフィルに吸収されて電子を 1 個放出させ,クロロフィルイオンを作るところから始まる.放出された電子は電子伝達系を通って 2 番目の反応中心を通る.

 その結果水素イオンが汲み出され,電気化学的勾配が形成される.この水素イオンによる電気化学的勾配をエネルギー源として ATP が合成される.

 電子伝達系を通った電子は最後に NADH+ に捕獲され,NADH+ は高エネルギー NADPH となる.電子を奪われたクロロフィルイオンは周囲の水と反応して気体の酸素分子を作り出す.

炭素固定反応

 上記の反応で生じた ATP と NADPH をエネルギー源として二酸化炭素が炭水化物に変換される.ここでは光は必要とされない.

 正味の入力は光子,二酸化炭素,水であり,出力は酸素と有機化合物である.

光合成の調節

 植物は太陽光のすべてをエネルギーに変換しているわけではない.むしろ,個体から分子までのあらゆるレベルにおいて,光合成と光損傷との狭間で最適化するように進化してきたと考えられる.植物は光過剰と光欠乏の両者に遭遇するため,低照度時には光合成を最大化し,高照度時には光合成装置の損傷を回避する戦略を立てる必要がある.

 その戦略とは,迅速に行われる反応と緩徐に行われる反応からなる.迅速な反応には葉の移動や葉緑体の移動,状態遷移,集光性複合体の可逆的乖離などがあり,緩徐な反応には集光性複合体の蛋白発現量の調節,葉の形態・構造・組成の変化などがある.

状態遷移

 チラコイド膜の状態遷移は 1969 年に発見された現象であり,光化学系 I と光化学系 II との間の光吸収と光励起の違いを調整するための仕組みである.

 光化学系 I は波長 700 nm 以上の遠赤色光を優先的に吸収し,光化学系 II は波長 700 nm 未満の赤色光を優先的に吸収する性質がある.

 そのため,チラコイド膜に赤色光を照射すると光化学系 II の吸収するエネルギーが増加し,膜は状態 2 に移行してエネルギーの平衡状態に達する.

 逆にチラコイド膜に遠赤色光を照射すると光化学系 I の吸収するエネルギーが増加し,膜は状態 1 に移行して新しい平衡状態に達する.

 これを状態遷移 (state transition) と呼び,1日の間に葉の表面に入射する太陽光の波長の変化への対応と考えられる.

 

国際スポーツ栄養学会ポジションスタンド:栄養素タイミング(炭水化物編)

 栄養素タイミングに関する国際スポーツ栄養学会ポジションスタンドの全訳を公開する.全体としては「炭水化物編」「炭水化物+たんぱく質編」「たんぱく質編」の三つに分けられる.今回は炭水化物編である.

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食事と体組成に関する国際スポーツ栄養学会のポジションスタンド(前編)

 今回は Google 検索で見つけた総説を紹介する.システマティックレビューではなく,ナラティブレビューである.引用している文献はシステマティックレビューやメタアナリシス,ランダム化比較試験など良質のものもあるが総じてピンキリだ.何でもそうだが,この記事に書かれていることも盲信しないで欲しい.

 長くなったので前編に食事,後編に身体の適応について述べることにしよう.

検索式

 検索式は “strength training” AND “carbohydrate” AND “systematic review” AND “meta analysis” AND pmc とした.1ページ目に紹介されていた論文の一つである.発行元は国際スポーツ栄養学会で 2017 年の発刊である.

  検索方法はPubMedを使わずに医学論文を探してみよう!~楽しみながら論文を検索する方法~で紹介されていた.

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PubMedで筋トレと炭水化物について論文検索してみた

 前回に引き続き PubMed による検索.今回のテーマは増量であるが,増量に関しては検索結果は期待できない.

 検索式は ((strength training) AND carbohydrate) AND systematic review である.これは詳細検索になる.結果は 31 件.そのうちめぼしい論文は以下の 3 編である.

 2 本目がそそるのだが,残念ながら有料論文だ.とりあえず要約だけコピペしてくる.

有料論文でも別ルートから全文が入手できる…かも

 こういう時でも,諦めずに検索し続けると思わぬところから全文が手に入ったりする.まず試したいのはタイトルでの Google 検索だ.Google Scholar じゃないのか?と思うかも知れないが,通常の検索でよい.

 論文特化型の検索だと公式の論文サイトからしか拾ってこないのだが,時々著者が自分のサイトで論文を公開してくれている場合がある. 今回はビンゴ!だった.

 ResearchGate というサイトにあった.右上に Download full-text PDF というボタンがあるだろう?これがそうだ.

Dietary Intake of Competitive Bodybuilders.

BACKGROUND:
Competitive bodybuilders are well known for extreme physique traits and extremes in diet and trainingmanipulation to optimize lean mass and achieve a low body fat. Although many of the dietary dogmas in bodybuilding lack scientific scrutiny, a number, including timing and dosing of high biological value proteins across the day, have more recently been confirmed as effective by empirical research studies. A more comprehensive understanding of the dietary intakes of bodybuilders has the potential to uncover other dietary approaches, deserving of scientific investigation, with application to the wider sporting, and potential health contexts, where manipulation of physique traits is desired.
OBJECTIVE:
Our objective was to conduct a systematic review of dietary intake practices of competitive bodybuilders, evaluate the quality and currency of the existing literature, and identify research gaps to inform future studies.
METHODS:
A systematic search of electronic databases was conducted from the earliest record until March 2014. The search combined permutations of the terms ‘bodybuilding’, ‘dietary intake’, and ‘dietary supplement’. Included studies needed to report quantitative data (energy and macronutrients at a minimum) on habitual dietary intake of competitive bodybuilders.
RESULTS:
The 18 manuscripts meeting eligibility criteria reported on 385 participants (n = 62 women). Most studies were published in the 1980-1990s, with three published in the past 5 years. Study methodological quality was evaluated as poor. Energy intake ranged from 10 to 24 MJ/day for men and from 4 to 14 MJ/day for women. Protein intake ranged from 1.9 to 4.3 g/kg for men and from 0.8 to 2.8 g/kg for women. Intake of carbohydrate and fat was <6 g/kg/day and below 30% of energy, respectively. Carbohydrate intakes were below, and protein (in men) intakes were higher than, the current recommendations for strength athletes, with no consideration for exploration of macronutrient quality or distribution over the day. Energy intakes varied over different phases of preparation, typically being highest in the non-competition (>6 months from competition) or immediate post-competition period and lowest during competition preparation (≤6 months from competition) or competition week. The most commonly reported dietary supplements were protein powders/liquids and amino acids. The studies failed to provide details on rationale for different dietary intakes. The contribution of diet supplements was also often not reported. When supplements were reported, intakes of some micronutrients were excessive (~1000% of US Recommended Dietary Allowance) and above the tolerable upper limit.
CONCLUSION:
This review demonstrates that literature describing the dietary intake practices of competitive bodybuilders is dated and often of poor quality. Intake reporting required better specificity and details of the rationale underpinning the use. The review suggests that high-quality contemporary research is needed in this area, with the potential to uncover dietary strategies worthy of scientific exploration.

 一つ興味深い記述がある.検索式だ. ‘bodybuilding’, ‘dietary intake’ and ‘dietary supplement’ で検索している.後で同じキーワードを適用してみることにしよう.

 おっと,参考文献リストに randomised controlled trial が 2 編あるな.一応リンクを踏んでおこう. なになに,1 件目はチェックリスト作成について.これは直接関係なさそう.2 件目はどうだ?何かリンク先PDF の内容がずれてる.これは PDF の方が正しい.タイトルは「過食中の体重増加,エネルギー消費量および体組成に及ぼす食餌たんぱく質含量の影響」だ.この論文もチェック対象に昇格させよう.

Effect of Dietary Protein Content on Weight Gain, Energy Expenditure, and Body Composition During Overeating
A Randomized Controlled Trial

Context

The role of diet composition in response to overeating and energy dissipation in humans is unclear.

Objective

To evaluate the effects of overconsumption of low, normal, and high protein diets on weight gain, energy expenditure, and body composition.

Design, Setting, and Participants

A single-blind, randomized controlled trial of 25 US healthy, weight-stable male and female volunteers, aged 18 to 35 years with a body mass index between 19 and 30. The first participant was admitted to the inpatient metabolic unit in June 2005 and the last in October 2007.

Intervention

After consuming a weight-stabilizing diet for 13 to 25 days, participants were randomized to diets containing 5% of energy from protein (low protein), 15% (normal protein), or 25% (high protein), which they were overfed during the last 8 weeks of their 10- to 12-week stay in the inpatient metabolic unit. Compared with energy intake during the weight stabilization period, the protein diets provided approximately 40% more energy intake, which corresponds to 954 kcal/d (95% CI, 884-1022 kcal/d).

Main Outcome Measures

Body composition was measured by dual-energy x-ray absorptiometry biweekly, resting energy expenditure was measured weekly by ventilated hood, and total energy expenditure by doubly labeled water prior to the overeating and weight stabilization periods and at weeks 7 to 8.

Results

Overeating produced significantly less weight gain in the low protein diet group (3.16 kg; 95% CI, 1.88-4.44 kg) compared with the normal protein diet group (6.05 kg; 95% CI, 4.84-7.26 kg) or the high protein diet group (6.51 kg; 95% CI, 5.23-7.79 kg) (P=.002). Body fat increased similarly in all 3 protein diet groups and represented 50% to more than 90% of the excess stored calories. Resting energy expenditure, total energy expenditure, and body protein did not increase during overfeeding with the low protein diet. In contrast, resting energy expenditure (normal protein diet: 160 kcal/d [95% CI, 102-218 kcal/d]; high protein diet: 227 kcal/d [95% CI, 165-289 kcal/d]) and body protein (lean body mass) (normal protein diet: 2.87 kg [95% CI, 2.11-3.62 kg]; high protein diet: 3.18 kg [95% CI, 2.37-3.98 kg]) increased significantly with the normal and high protein diets.

Conclusions

Among persons living in a controlled setting, calories alone account for the increase in fat; protein affected energy expenditure and storage of lean body mass, but not body fat storage.

系統的レビューから無作為化比較試験へ

 調子に乗って別の検索式を試してみる.((strength training) AND carbohydrate) AND randomised controlled trial だとどうだろう?検索結果は 516 件に増えた.さすがにこれは全部チェックできないのでキーワードを加えて絞ることにする.

 先程候補に上げたキーワードの一つ dietary intake を加えてみる.検索結果は 89 件に減った.これならタイトルチェックができそうだ.検索式は ((((strength training) AND carbohydrate) AND randomised controlled trial)) AND dietary intake となる.

 キーワードを systematic review から randomised controlled trial に切り替えて何してるんだ?と思われたかも知れない.

 これはエビデンスレベルの変更を行っている.系統的レビューが最もエビデンスレベルが高い.二番目に高いのが無作為化比較試験だ.系統的レビューであっても,元になる論文のレベルが低いと結果もあまり信頼できない.個人的なこだわりだが,質の低い系統的レビューよりも質の高い 1 本の無作為化比較試験の方が真実を射抜いている可能性がある.

 ちょっとここでチートをしてみる.表示件数を 100 件に増やし,ブラウザの検索を使って carbohydrate というキーワードを検索する.該当は 18 件だが最初の 3 件は無関係なので無視.16 件目以降も無関係だ.

 かなり興味深い検索結果だ. タイトルを見ているだけで関心のある論文に迫っているのが分かる.

Effects of different macronutrient consumption following a resistance-training session on fat and carbohydrate metabolism.

The effect of consuming meals of different macronutrient content on substrate oxidation following resistance exercise was examined in 9 resistance-trained men (26.2 +/- 2.4 years). Subjects completed 3 resistance exercise bouts of 8 exercises and 1 warm-up set (50% of 10 repetition maximum [RM]), which were followed by 3 sets of 10 repetitions (72.7 +/- 1.9% 10RM), with 60 seconds of rest between sets. Forty-five minutes after exercise, subjects consumed meals of high fat (HF, 37% carbohydrate, 18% protein, and 45% fat), high carbohydrate (HC, 79% carbohydrate, 20% protein, and 1% fat), or water (CON). Fat and carbohydrate oxidation were determined at 15-minute periods after meal consumption for 165 minutes. Blood was collected at preexercise (pre), premeal (0 minutes), and 15, 30, 45, 60, 90, 120, 150, and 180 minutes postmeal and was analyzed for insulin, glucose, triacylglycerols, and glycerol. There were no significant differences among the meal conditions for fat and carbohydrate oxidation. Insulin and glucose concentrations were significantly higher (p < 0.05) following HC at 15, 30, 45, 60, and 90 minutes compared to HF and CON. Triacylglycerol concentrations were significantly higher (p < 0.05) following HF at 90, 120, 150, and 180 minutes compared to HC and CON. Fat and carbohydrate oxidation were not affected by differences in macronutrient meal consumption after an acute bout of resistance training. Different macronutrient consumption does influence insulin, glucose, and triacylglycerol concentrations after resistance exercise.

Minimal nutrition intervention with high-protein/low-carbohydrate and low-fat, nutrient-dense food supplement improves body composition and exercise benefits in overweight adults: A randomized controlled trial.

BACKGROUND:
Exercise and high-protein/reduced-carbohydrate and -fat diets have each been shown separately, or in combination with an energy-restricted diet to improve body composition and health in sedentary, overweight (BMI > 25) adults. The current study, instead, examined the physiological response to 10 weeks of combined aerobic and resistance exercise (EX) versus exercise + minimal nutrition intervention designed to alter the macronutrient profile, in the absence of energy restriction, using a commercially available high-protein/low-carbohydrate and low-fat, nutrient-dense food supplement (EXFS); versus control (CON).
METHODS:
Thirty-eight previously sedentary, overweight subjects (female = 19; male = 19) were randomly assigned to either CON (n = 10), EX (n = 14) or EXFS (n = 14). EX and EXFS participated in supervised resistance and endurance training (2x and 3x/wk, respectively); EXFS consumed 1 shake/d (weeks 1 and 2) and 2 shakes/d (weeks 3-10).
RESULTS:
EXFS significantly decreased total energy, carbohydrate and fat intake (-14.4%, -27.2% and -26.7%, respectively; p < 0.017), and increased protein and fiber intake (+52.1% and +21.2%, respectively; p < 0.017). EX and EXFS significantly decreased fat mass (-4.6% and -9.3%, respectively; p < 0.017), with a greater (p < 0.05) decrease in EXFS than EX and CON. Muscle mass increase only reached significance in EXFS (+2.3%; p < 0.017), which was greater (p < 0.05) than CON but not EX (+1.1%). Relative VO2max improved in both exercise groups (EX = +5.0% and EXFS = +7.9%; p < 0.017); however, only EXFS significantly improved absolute VO2max (+6.2%; p = 0.001). Time-to-exhaustion during treadmill testing increased in EX (+9.8%) but was significantly less (p < 0.05) than in EXFS (+21.2%). Total cholesterol and LDL decreased only in the EXFS (-12.0% and -13.3%, respectively; p < 0.017). Total cholesterol-to-HDL ratio, however, decreased significantly (p < 0.017) in both exercise groups.
CONCLUSION:
Absent energy restriction or other dietary controls, provision of a high-protein/low-carbohydrate and -fat, nutrient-dense food supplement significantly, 1) modified ad libitum macronutrient and energy intake (behavior effect), 2) improved physiological adaptations to exercise (metabolic advantage), and 3) reduced the variability of individual responses for fat mass, muscle mass and time-to-exhaustion – all three variables improving in 100% of EXFS subjects.

Carbohydrate feeding during recovery alters the skeletal muscle metabolic response to repeated sessions of high-intensity interval exercise in humans.

Exercise training under conditions of reduced carbohydrate (CHO) availability has been reported to augment gains in skeletal muscle oxidative capacity; however, the underlying mechanisms are unclear. We examined the effect of manipulating CHO intake on the acute metabolic response to high-intensity interval exercise, including signaling cascades linked to mitochondrial biogenesis. Ten men performed two trials in random order separated by >or=1 wk. Each trial consisted of a morning (AM) and afternoon (PM) training session (5 x 4 min cycling at approximately 90-95% of heart rate reserve) separated by 3 h of recovery during which subjects ingested a high-CHO drink (HI-HI) or nonenergetic placebo (HI-LO) before PM exercise. Biopsies (vastus lateralis) revealed that muscle phosphocreatine and ATP content were similar after AM exercise but decreased to a greater extent during PM exercise in HI-LO vs. HI-HI. Phosphorylation of p38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) and AMP-activated protein kinase (AMPK) increased approximately 4-fold and 2-fold, respectively, during AM exercise with no difference between conditions. After PM exercise, p38 MAPK phosphorylation was higher in HI-LO vs. HI-HI, whereas AMPK was not different between conditions. Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-alpha (PGC-1 alpha) gene expression increased approximately 8-fold during recovery from AM exercise and remained elevated during PM exercise with no differences between conditions. Cytochrome oxidase subunit 4 (COXIV) mRNA was also elevated 3 h after AM exercise, with no difference between conditions. These data provide evidence that p38 MAPK is a nutrient-sensitive signaling molecule that could be involved in the altered skeletal muscle adaptive response reported after exercise training under conditions of restricted CHO intake, but further research is required to confirm this hypothesis.

Increased p70s6k phosphorylation during intake of a protein-carbohydrate drink following resistance exercise in the fasted state.

The present study aimed at comparing the responses of myogenic regulatory factors and signaling pathways involved in muscle protein synthesis after a resistance training session performed in either the fasted or fed state. According to a randomized crossover study design, six young male subjects participated in two experimental sessions separated by 3 weeks. In each session, they performed a standardized resistance training. After the sessions, they received during a 4-h recovery period 6 ml/kg b.w. h of a solution containing carbohydrates (50 g/l), protein hydrolysate (33 g/l), and leucine (16.6 g/l). On one occasion, the resistance exercise session was performed after the intake of a carbohydrate-rich breakfast (B), whereas in the other session they remained fasted (F). Needle biopsies from m. vastus lateralis were obtained before (Rest), and 1 h (+1h) and 4 h (+4h) after exercise. Myogenin, MRF4, and MyoD1 mRNA contents were determined by RT-PCR. Phosphorylation of PKB (protein kinase B), GSK3, p70(s6k) (p70 ribosomal S6 kinase), eIF2B, eEF2 (eukaryotic elongation factor 2), ERK1/2, and p38 was measured via western blotting. Compared with F, the pre-exercise phosphorylation states of PKB and p70(s6k) were higher in B, whereas those of eIF2B and eEF2 were lower. During recovery, the phosphorylation state of p70(s6k) was lower in B than in F (p = 0.02). There were no differences in basal mRNA contents between B and F. However, compared with F at +1h, MyoD1 and MRF4 mRNA contents were lower in B (p < 0.05). Our results indicate that prior fasting may stimulate the intramyocellular anabolic response to ingestion of a carbohydrate/protein/leucine mixture following a heavy resistance training session.

 Twitter でフォローしていたアカウントが興味深い論文を紹介してくれていた.

Carbohydrate restriction: Friend or foe of resistance-based exercise performance?

It is commonly accepted that adequate carbohydrate availability is necessary for optimal endurance performance. However, for strength- and physique-based athletes, sports nutrition research and recommendations have focused on protein ingestion, with far less attention given to carbohydrates. Varying resistance exercise protocols, such as differences in intensity, volume, and intraset rest prescriptions between strength-training and physique-training goals elicit different metabolic responses, which may necessitate different carbohydrate needs. The results of several acute and chronic training studies suggest that although severe carbohydrate restriction may not impair strength adaptations during a resistance training program, consuming an adequate amount of carbohydrate in the days leading up to testing may enhance maximal strength and strength–endurance performance. Although several molecular studies demonstrate no additive increases in postexercise mammalian target of rapamycin 1 phosphorylation with carbohydrate and protein compared with protein ingestion alone, the effects of chronic resistance training with carbohydrate restriction on muscle hypertrophy are conflicting and require further research to determine a minimal carbohydrate threshold necessary to optimize muscle hypertrophy. This review summarizes the current knowledge regarding carbohydrate availability and resistance training outcomes and poses new research questions that will better help guide carbohydrate recommendations for strength and physique athletes. In addition, given that success in physique sports is based on subjective appearance, and not objective physical performance, we also review the effects of subchronic carbohydrate ingestion during contest preparation on aesthetic appearance.

 残念ながら,この論文は公開後日が浅いこともあって全文を先程のルートで公開してくれている訳ではなかった.アカウント取得の時点でつまづいている.

 この記事の最初に紹介した論文も実はいい線行っている.前回の減量に関する記事に紹介したほうがよかったかも知れない.これから精読に入ろう.読み込めたらまた紹介する.

追記

 炭水化物または蛋白質,筋トレ,系統的レビュー,メタ解析から糖尿病と癌を削り取った検索式は ((((((protein) OR carbohydrate) AND strength training) AND systematic review) AND meta analysis) NOT diabetes) NOT cancer となる.この検索結果は 20 件.これまで見てきた論文が半分近くある.

日本標準食品成分表2015をダウンロードし,データクレンジングを行う

 文部科学省には日本標準食品成分表のデータがある.食品の栄養素の計算に用いられるデータで,食品成分データベースやフィットネス,ダイエット関連アプリのデータベースの基本となっているものである.

 このデータは 5 年ごとに更新されており,最新のデータは 2015 年のものである.次の更新は 2020 年の予定である.今回の記事ではこのデータをダウンロードし,クレンジングを行う.

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鶏もも肉のレモンソース焼きの作り方

 東京のコンビニで買ったサラダチキンのレモン味が美味しかったので,それに触発されて作ったものである.レモンの酸味は加熱によって薄まり,肉の臭みがレモンによって爽やかになる.肉を果実と一緒に煮たり焼いたりするのは中東やヨーロッパの料理に多く,和食とは違う味わいがある.レモンは国産が良い.輸入ものはワックスがかかっていて苦味があり,美味しくない.

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