昨年は英国の論文を取り扱った.今回は住宅断熱という介入が死亡というアウトカムにどのような影響を及ぼすかを調査した論文を紹介する.
ニュージーランドは日本とほぼ同じ温帯区分に属し,南半球にある島国である.住宅の3分の1は全く断熱されていない.日本の住宅は9割が断熱されていないとされる.どの国も貧困層の住宅事情が厳しいことは共通している.ニュージーランドではそれらの住宅に断熱改修を施し,死亡率が減少するかをみた.
Co-evolution of human and technology
表題の原文はCross-Sectional Analysis of the Relationship Between Home Blood Pressure and Indoor Temperature in Winter: A Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.12914で読める.家が寒いと血圧が上がるという経験則をデータで示した論文である.血圧が上がれば心血管疾患リスクが上がり,死亡率も上がる.したがって冬には死者が増える,という冬季超過死亡率の上昇まで見てあればよいのだが,残念ながら死亡はエンドポイントとして見ていない.それがこの研究の限界である.
これまでの投稿においても参照されている世界保健機関の住宅と健康ガイドラインでは476もの文献が参照されている.この中から死亡率に言及した参考文献を抽出し,要訳とともに掲載する.なお,翻訳は機械翻訳によるものに手動で訂正を加えたものであり,日本語として難解な箇所もある.
寒冷な住宅の健康への影響は冬季超過死亡率の上昇など直接的な影響にとどまらない.本稿ではMarmot Review Teamが2011年に刊行した表題の報告書を全訳して報告する.最後の参考文献は可能な限りリンクを示したが,リンクミスなどがあればご指摘願いたい.
冬季間に高齢者が多く死亡するのは当然と考えられてきた.しかしそれが貧弱な断熱性の住宅のためであり,政策によって適切な改修と燃料への補助を施せば冬季超過死亡を避けることができ,それによって医療費が削減できるとすれば,国全体としては投資した予算よりも多くの果実を得ることができる.英国からの報告は野心的である.
英語の論文読んでたら止まらなくなって勢いで全訳してしまった.ほんとは全訳なんてしちゃいけないもんだと界隈では言われてたりするんだけど,この際まあいいや.
出典は筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実,大学病院理学療法士の方のブログ.いつもお世話になってます.幅広い論文検索能力,素晴らしいです.脱帽.
有料ってところでめげそうになる.PDF なんだけど,あまりレイアウトがきれいじゃない.どうも速報らしくて印刷用じゃないっぽい.
気になったのは考察で述べられている(本記事では強調表示してある)ところの,「若年成人では筋トレが動脈硬化を促進している可能性がある」というくだり.
アナボリックステロイドによるドーピングについては考察されているのかな?アメリカとかだと結構な割合でドーピングが浸透しているらしいし.若い男が手っ取り早くムキムキの体を手に入れたくてステロイドに手を出す,てのはいかにもありそうな話だ.参考文献までは読んでないので知らんけど,誰か読んだら教えて.俺もう疲れちゃったよ・・・
ところどころ翻訳が変な箇所があるけど,翻訳業者じゃないから勘弁してくれ.さて,行きますよ.