市場

 最新の IT 企業内とは思えない.展示会場はさながら市場のようだ.全体が四つの区画に分けられ,中央には広場がある.中央広場から四区画を仕切るように広い通路が伸びており,区画内には細い通路が入り組んでいた.

 周辺の四区画は手前から食品,調理,家電,食器に大別されていた.日本だとこういう会場は仮設のパネルで仕切られているものだが,ここではむしろ本物の市場を模した作りになっている.

 食品区画など,市場そのものだ.布の天蓋,木製の柱と展示台.展示台には色とりどりの野菜や果物が並んでいる.冷蔵ケースには魚介類や肉が見える.

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鶏もも肉のレモンソース焼きの作り方

 東京のコンビニで買ったサラダチキンのレモン味が美味しかったので,それに触発されて作ったものである.レモンの酸味は加熱によって薄まり,肉の臭みがレモンによって爽やかになる.肉を果実と一緒に煮たり焼いたりするのは中東やヨーロッパの料理に多く,和食とは違う味わいがある.レモンは国産が良い.輸入ものはワックスがかかっていて苦味があり,美味しくない.

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スマートキッチン

シアトル

 2020 年 9 月某日,シアトルにある Amazon 本社では静かな期待と興奮が満ちていた.東京オリンピックが終わり,ピークを迎えた日本の株価は徐々に下がりつつつある中,何か重大な発表があるのではないかとの噂で持ちきりだった.

 壇上には Amazon の CEO, ジェフ・ベゾスの姿があった.彼は過去 1 年間の業績を報告した後,新製品について言及した.

「数年に一度,すべてを変えてしまう製品が登場します.それを成し遂げることができれば幸運ですが,我々は何度かの機会に恵まれました」

「2007 年,Kindle を発表,紙の書籍から電子書籍へと移行」

「2011 年,Cloud Player を発表,これは iPhone ほどのインパクトはなかったかも知れない」

 会場に笑いが起きる.

「2014 年,Alexa を発表.タッチ画面から音声へとインターフェースの移行が始まりました」

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食事管理の現在と未来

 食事管理のキモは計量である.たんぱく質,脂質に炭水化物,および塩分の摂取量を把握することは,現代人にとって必須のスキルである.

 筋トレやボディビルディングに限らず,生活習慣病の管理も食事の計量が出来ていないと話にならない.

 たんぱく質,脂質,炭水化物の三大栄養素をマクロ栄養素という.これらを見える化する手法としてマクロ栄養素による食事摂取量の把握たんぱく質摂取量をTableauでグラフ化するGoogle Data Studioでたんぱく質摂取量のグラフを作るにはなどの記事を紹介してきた.それらの集大成である.

生活習慣病と食事管理

 生活習慣病の治療において薬物が処方されるが,それも食事療法という土台が出来ていないと治療がうまくいかない.医療機関側の責任にしたがる患者は多いが,食事管理もできずに何を言っているのかと思う.

糖尿病

 たとえば,日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン (2016) では食事療法の目安として以下の記述がある.

炭水化物を 50-60 % エネルギー,たんぱく質 20 % エネルギー以下を目安とし,残りを脂質とする.

脂質異常症

 脂質異常症の治療エッセンスには以下の記述がある.

  • 禁煙し,受動喫煙を回避する
  • 過食を抑え,標準体重を維持する
  • 肉の脂身,乳製品,卵黄の摂取を抑え,魚類・大豆製品の摂取を増やす
  • 野菜,果物,未精製穀類,海藻の摂取を増やす
  • 食塩を多く含む食品の摂取を控える(6 g/日未満)
  • アルコールの過剰摂取を控える(25 g/日以下)
  • 有酸素運動を毎日 30 分以上行う

高血圧

 高血圧治療ガイドライン 2014 においては以下の記述がある.

本ガイドラインでは,本邦の実情を考慮して減塩目標値を 6 g/日未満とする.

慢性腎臓病

 慢性腎臓病診療ガイドライン 2013 においては以下の記述がある.

画一的な指導は不適切であり,個々の患者の病態やリスク,アドヒアランスなどを総合的に判断して,たんぱく質制限を指導することを推奨する.

 これらを見渡すと,生活習慣病では炭水化物,たんぱく質,塩分について,数値による管理が必要であることが分かる.

筋トレと食事管理

 翻って,日々筋トレに励み,ボディビルディングに勤しむ我々はどうだろうか.

 タンパク質は体重 1 kg あたり 2 g 摂取する.脂質は摂取エネルギーの 20-25 % を摂取する.残りを炭水化物に割り当てる.これがマクロ栄養素の基本であった.

 生活習慣病の管理にも,筋トレおよびボディビルディングにおいても,食事管理が欠かせないことが分かる.それも,ただカロリーを計算すれば良いというのではない.その内訳が重要なのである.

食事の計量と記録

クッキングスケールで計量しよう

 だから,何をどれだけ食べているかの記録は絶対に必要だ.そのために毎日食べているものの重さを量ろう.そして記録しよう.

 このクッキングスケールは俺も使用しているものだ.盛り付けた状態で載せ,電源を入れるとその状態でゼロとなり,食べていくうちに重さが減っていく.全部食べきったところで数値を見て記録する.その繰り返しだ.

データベースに記録しよう

 下表は各自で作成してもらいたいデータベースの構造だ.Excel でも, Google スプレッドシートでもよい.スマホのアプリもあるが,掲載されていない食品もあって使いにくい.できれば自作をお勧めしたい.当然 G 列, H 列, I 列, J 列のセルには計算式が入る.

A1 日付
B1 食材
C1 計量 g
D1 たんぱく質 g
E1 脂質 g
F1 炭水化物 g
G1 たんぱく質 kcal
H1 脂質 kcal
I1 炭水化物 kcal
J1 総カロリー kcal

最初は調理後のメニューを検索しよう

 最初は一皿ごとの重さで構わない.料理名で検索すれば食品成分データベースには大まかな栄養素は掲載されている.しかし慣れてきたら食材ごとに計量したい.例えば煮物なら,大根,人参,里芋,油揚げ,しいたけそれぞれについて計量しながら食べる.そういうことだ.

すべての食材を計量しよう

 自炊している人ならさらに細かい計量が可能だ.調理前の食材を計量するのである.調理後の食材は水分がしみ込んだり,逆に加熱で水分が失われて重さに誤差が生じている.その誤差をなくせるからである.言うまでもなく食品成分データベースに掲載されている栄養素の値は調理前のものだ.だから本来は調理前の計量がベストだ.

 すべての食材を計量してから鍋なりフライパンで調理し,出来上がったものの重さを計量する.加熱しているから多少重さが減っているかも知れない.各自の皿に取り分けた際にそれぞれを計量する.食材の各栄養素の総計を各皿の重量比で割れば,一皿ごとの栄養素が求められる.実は,病院食の栄養素もそうやって算出されている.

妻が面倒がって計量してくれない

 だがここで,多くの既婚男性は壁にぶつかる.今俺が書いたことを妻に言えるか?言えないだろう.そんなことを言おうものなら,罵詈雑言が 10 倍になって返ってくることは間違いない.ここは妥協するしかない.調理後の食材を種類ごとに計量しながら食べるか,調理後のメニューを検索するかである.

 キッチンの未来にも書いたが,ここに技術の関与する余地があると思われる.しかしなぜか家電メーカーもキッチンメーカーも手を付けようとしない.多分,メーカーの技術者に女性がいないためだろう.

 冷蔵庫に Wi-Fi つけるのもいいけれど,こういう食事管理をサポートしてくれるシステム,早くどこかが作らないといけない.今そんなシステム出せば,市場を独占できる.早くしないと Amazon か Google に丸ごと持っていかれるよ.

食事の記録はあなたの健康をサポートする

 毎日の食事記録を習慣化すると,いいことがある.俺は一週間ごとに体組成計で体重を測定しているが,食事内容で敏感に体が反応しているのが分かる.間食のたんぱく質源としてチーズを食べたか,サラダチキンを食べたかで翌週の体脂肪量が増えたり減ったりする.

 食事をたんぱく質,脂質,炭水化物に分けて記録すると,将来老いて生活習慣病になった時,その時点での最新のガイドラインに即応できる.筋トレをしている人は生活習慣病から最も程遠い生活をしているが,それでも先のことは分からない.

ガイドラインを活用しよう

 言うまでもなく,ガイドラインとはその時点での最新の知見をもとに作られている.無作為化比較試験をいくつも集めたメタ解析や系統的レビューをベースにしており,学術的批判に耐えるだけの根拠がある.

 もちろん,ガイドラインとて万能ではない.過去にも良かれと思って推奨されてきた治療方針がひっくり返った例は山ほどある.しかし,こと食事管理に関しては現時点でのガイドラインはほぼ間違いないと思っていいだろう.

 大学病院で偉そうにふんぞり返っている医者も,実はガイドラインに沿って治療しているだけである.そして重要なことだが,ガイドラインはネット上に公開されており,正しい知識を持って読めば医者と同じ基準で判断できる環境にある.これを活用しない手はない.

数字で話をしろ,数字で!

 病院における栄養指導の現状をご存知だろうか.医者から栄養指導の指示が出たら,管理栄養士は患者や家族から三日間の食事内容を聞き出す.そして「何となく」これくらいのカロリーを摂取しているのだろうと当たりをつけているのである.これが大病院でも当たり前のようにまかり通っている.一体いつの時代の話だ?

 もっとも,これはあなたにも責任がある.経営については数字で話ができるのに,最も重要な資本である肉体を構成する栄養に関して,こんな占いみたいな方法で説明されて,なぜ怒らないのだ?あなたが詳細な食事記録を元に作成したマクロ栄養素のチャートを叩きつけたら,管理栄養士は真っ青になるだろう.

 多くの人が自分の食事内容を記録し,数字を基に議論ができるようになれば,自ずと栄養指導のあり方も変わっていくに違いない.それは決して堅苦しいものではなく,むしろ旬の食材や地域の特産品を活かして食卓を豊かにしてくれるものであると確信している.

まとめ

 筋トレと並行して行う食事管理の効能は,単にダイエットやボディビルにとどまらない.それは生涯にわたってあなたの健康をサポートしてくれるだろう.

東への旅

 一族は旅を続けていた.男の数は 30 名あまり,女は少なく 10 名程度,子供は 20 名ほどだった.この数年来,一族の数は少しずつ減っていた.長旅の途中に病で命を落とすものが多かった.

 5 年前,彼らはもっと大きな群れの一員だった.彼らははるか西の大きな平原で暮らしていた.長く続いた冬は何十年も前に終わりを告げ,空気は少しずつ暖かくなっていた.緑の草が生い茂るようになり,樹木が伸びてきていた.彼らは草を食べる獣を狩り,木の実やキノコを集めて食べていた.

 彼らは子を産み育て,一族は数を増やしていった.しかし,増えすぎた人口は周辺の資源では賄いきれなくなってきた.人口は 300 名を超えていた.彼らは増え続ける人口を養うためにさらに遠くまで狩りに出かけ,また薪のためにさらに遠くの森へ行き,木を伐採しなければならなかった.

 やがて,遠くまで出かける労力も追いつかなくなった.一族の内部では資源をめぐって深刻な対立が起きるようになった.一族は二つの派閥に分かれた.抗争は時に殺し合いにまで発展し,もはや分裂は時間の問題だった.

 一方の派閥がこの地を離れることを決意した.その数,100 名あまり.若い男女が多かった.比較的年長の男女はこの地に留まることを望んだ.若い男女が多くの子供を連れて立ち去る結果となった.

 旅立ちの前夜,広場で宴が催された.肉と酒と果実が振る舞われた.若者たちは焚き火の周りで踊り,年長者たちは静かに語り合い,子どもたちははしゃいでいた.踊りのさなか,数組の男女が手をつないで各々の天幕に入っていく.火が消える頃には広場から人影は消え,イヌたちが残飯をあさっていた.夜空には色とりどりの光の柱が立ち現れていた.その夜の光は格別に華やかだった.

 翌朝,彼らは東に立ち去った.立ち去る群れに子供を託す母親もいた.望んで親元から立ち去る子供もいた.この地ではもう生きていけないと皆が分かっていた.残された子供は口減らしのために殺される運命にあった.そして彼らが生きて出会うことは二度となかった.

 旅路は時に過酷だった.祖先から伝え聞いた話では,太陽の昇る方向に海を渡る狭い回廊があり,その先には大きな陸地があるとのことだった.彼らは半年かかって海に到達し,北へ向かった.丘をいくつか越えた先に回廊はあった.彼らは回廊を東に進んだ.回廊は時に海に阻まれた.彼らは筏を作り,海を渡った.海を渡るさなか嵐に遭い,沈んだ筏もあった.

 かつて住んでいた平原にいた大型の獣はもはやおらず,波打ち際で採れる貝が貴重な食料だった.時に岩場に群れで生息する獣は,格好の獲物だった.そのような狩場を見つけると,彼らはしばらくそこに滞在した.そして獲物を狩り尽くして食料がなくなると,彼らは再び東進を始めた.

 さらに数年が過ぎた.旅立ちの日に子供だった者のうち,半数が死んだ.生き残った子供は成長し,子供を産んだ.誰が父親になるかをめぐって対立や駆け引きもあったが,父親になれたのは狩りの上手な男だった.女が男を選んだ結果,そうなった.この時代には強い男が子供を作るのが当然とされていた.

 ある朝,見張りの若者が水平線に陸地が見えると叫んだ.群れのリーダーはすぐさま立ち上がり,丘の上に向かった.回廊の彼方,水平線にかすかに他とは違う色が見える.彼は記憶の中からこれまでの情景を思い出していた.これまでにも水平線に陸地が見えたことはあった.だが,それは水平線の上に揺らぐ幻だった.時間が経つと幻は消えてしまい,いっときの興奮は落胆に終わった.

 今回も幻ではないのか?まず疑った.しかしいつもの幻なら揺らいでいるはずだ.今日のはそれほど揺らいでいるようには見えない.もしかすると…

 群れは興奮に沸き返った.故郷を捨て,多くの犠牲を払って旅立った彼らの労苦が報われる時が来た.いつまで続くか分からなかった長い旅路は,ようやく終わりを告げようとしていた.

鬼嫁/神嫁 婚前判定アンケート結果

 スーパーサイヤさんのツイートがきっかけで始まった鬼嫁アンケートの解析結果が出たので報告する.

要約

 妻の年収 200 万円以下で鬼嫁が多く,専業主婦は鬼嫁のリスクが高い可能性がある.鬼嫁との関係修復は困難だったが,妻との関係改善に有効だったのは帰宅を早め,セックスを増やし,話し合いの機会を増やしたことだけだった.鬼嫁化する原因の一つは夫の共感の欠如と考えられるが,他にも鬼嫁の兆候はいくつか検出された.大きな精神的負荷が鬼嫁の背景因子として存在する可能性が示唆された.

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Excelのピボットテーブルでクロス集計から統計解析まで

 先日の鬼嫁/神嫁 婚前判定用アンケートを実施しますから鬼嫁/神嫁 婚前判定用アンケート結果に至るまでの解析の過程が誰かの役に立つだろうと考えて投稿する次第.ガチの統計手法だから一般社会人はとりあえずこれマスターしとけ.あ,大学で専門的にやってる人は除外ね.多変量解析とかはここでは扱わない.

 大まかな流れとしては次のような感じ.今回の投稿はできれば Excel のインストールしてある PC で見てくれ.スマホだと演習問題が解けない.

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